May 28, 2006
「大阪ハムレット」(森下裕美)
大阪が舞台の短編マンガであります。全編コテコテな関西弁で、さらっと日常が書かれてるのであります。大ネタがあるわけでもなく、爆笑ギャグが仕込まれてるわけでもなく、でもかなり「丁寧な日常」っす。
登場人物も基本ブサイクな顔で。ちっちゃい釣り目顔が大半っす。おっさんはみんなヨレヨレかポテポテやし、おばちゃんはコロコロでハデハデであります。ここまでブサイクを揃えてるのに、絵がキレイなのは、そんなブサイク顔がきっちりデザインされてるからかなー。みんなの顔が必要最小限の線で書かれてるから、自信たっぷりな顔なんよね。
「ブサイクが自信たっぷり」って設定は、何かそれだけでリアルです。だって周りのおっちゃんやオバチャンは、そんなんばっかしやもん。変に貧乏でもなく金持ちでもないブサイクな人たちが、気負ったりしないで過ごしてるとこがいいっす。
ちなみにワタクシ、読んだ後すぐに思い出したのは「ごっつええ感じ」の「おかんとマーくん」とか「トカゲのおっさん(第一回)」あたりの空気です。特に「爆笑」が仕込んであるわけじゃないし、ボケと突っ込みの応酬なわけでもなく、漂ってるもんが「うわー」って感じのやつっすね。「ごっつ」はコントなんで「いたたたっ」ってとこを多めにしてありますが、そっから「いたさ」を減らした感じ、ちうたら、さらにわかりにくくなったでしょうか?うーん、説明がむつかしいー。
全部で6本の短編が入っております。「大阪ハムレット」はおとーちゃんが死んだあと、おとうちゃんの弟が家に住み着いたユキオくんの話。「乙女の祈り」は女の子になりたい小学生ヒロくんの話。「名前」は不妊治療中のアイコちゃんの話。「恋愛」は前後編で、中学3年で23歳の彼女と付き合うことになったまさしくんの話。「おんなの島」はヒロくんが夏休みの間だけ、女の子としておばーちゃんの田舎で過ごす話。
深刻に考えたらどこまでも深刻に盛り上がれそうなネタを、真剣に対応しながらさらっと乗り切ってて、読後感も気持ちいいもんがありまして。こんだけ関西弁で書いてるけど「コテコテ」じゃないとこもいいっすね。大阪の人は「会話が全部漫才」ってのを他の地方の人はいうけど、案外ボケと突っ込みの発生する割り合いとしては、こんくらいじゃないかなー。
ストーリーと全く関係ないコネタが、これまたええとこついてまして。ばーちゃんは「ナシ、たべりー」って持ってくるし、おかんは「ごはん、おにくやしー、おいしいでー」ちうてるし、何かもー全編で「はいはい、あるあるあるー」ってヒザをペシペシしたくなるとこが丁寧っすね。森之宮の公団とかに、このままの家族がいてそうです。
そんな憎めないええキャラ揃いのなかでも、ワタクシの一押しはヒロくんのおとーちゃんっす。ワタクシの中では、このおとーちゃんはプーリーさんに変換されてるので、ドラマ化するならぜひプーリーさんでよろしくです。3200円のヘアパック買ってた奥さんに「おまえ、どこの姫ぞ!」と声はって頂きたいっす。
そんなワタクシの野望は置いておいて、現在も隔週でアクションに連載されてるみたいなので、続編も非常に楽しみっす。自信たっぷりなブザイクの登場を心待ちにしております。
※ 2巻が発売されたので早速購入ー。いやー、「まだこの顔が残ってたかー」な顔が山盛りっす。1巻に比べると大人が主体な話になってるけど、これがこれでまたやられるっす。エリカかっこいいー。
※ 2008年春に映画が公開されるそうな。配役とか見ると1巻の1話っぽいから、これを中心にいろいろくっつけたりするのかな?
森下裕美/大阪ハムレット
大阪ハムレット 1 (1)
森下 裕美
大阪舞台の短編連作物語。
題名は一本目の作品のタイトルで、
以降の話には関係してこない。
ひとことでまとめてしまえば、
人生シンドいけどがんばろうな、
前向いていこ、というお話。
かなりビターだが、後ろ向いた話ではない。
しかし、「アシベ」だ「ここだけのふたり」
だのが好きで手に取ったら、
4コマではないし笑いをとる感じではないし
絵柄自体もあえてかわいいキャラクターを
出していないしで、良くも悪くも裏切られる
のではないか。著者に…
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