Aug 31, 2007

「暗号解読」(サイモン・シン)

「暗号」って見たことないっすよね?大体「誰が使ってるんよ」ってなもんやったわけですよ、ワタクシは。

そんなワタクシに「ごめん。裏でこんだけ使ってました」と登場したのが「暗号解読」。文庫で上下巻です(単行本は2年前に1冊にまとまっててこちら。図書館ならこっちがあるかも)。

「暗号解読」は、古代ギリシャから現在使用されてるもんまで、実際使われてきた暗号の「作る側」と「解読側」の対決の歴史を、実例を挙げて壮大にお届けしてくれてるノンフィクションであります。

上巻から下巻の最初くらいまでが、「古代ギリシャ」から「第二次世界大戦」の戦場で使われてた暗号が主役で、下巻の途中からは粘土板に掘られた紀元前の線文字Bの解読(これは暗号じゃないけど)、最後はコンピュータ登場後の暗号化(個人情報入力とか、クレジット決済で使うやつね)、更には今後「量子コンピュータ」が出てきた時用の暗号化方法まで。

まさに「暗号のひみつ」です。学研の「ひみつシリーズ」でマンガ化を希望したいとこです。

すんごく大雑把に説明すると、登場する人は2パターン。

  1.「絶対ばれないはずの暗号を考える人」(受け取った側だけが元に戻せるのが条件)

  2.「暗号文だけ見て、『何が書いてあるか』を見つけ出す人」

とにかく何がすごいって、「実例を挙げて」が凄いっすよ。暗号って元々「アルファベットの置き換え」なんで、置き換える方式によって「○○暗号」って感じで何パターンかに分かれて進化してるのですが、全部「例えばこの文言を暗号化すると・・・」って例文付きで紹介しちゃってます。

で、こっちが「おおおお、これは読まれへんわ」って納得してるとこで、「暗号文を入手した敵側」の目線になってですね。「こーこーこーゆー手順で解読に成功しました」ってくるわけですよ。「何でそんなん思いついちゃうのー?」です。

特に上巻の戦場で使用してるもんなんか、「解読されたらシャレならん」対「解読せなシャレならん」の対決になっちゃってるんで、そのあたりの攻防がスリリングー。

特にこの時代は「暗号作ったぞ!」ってスゴイ人も、「暗号を解読したぞ!」ってスゴイ人も、秘密に行動してたから、公に褒め称えられないまま亡くなってる人が殆どで、こんなとこは「栄光なき天才たち」に通じるところがあるかも。

大戦でドイツが使ってた「エニグマ暗号」の解読に関わったチューリングチームなんか、「プロジェクトX・2時間半スペシャル」で大晦日に放送してもいいくらいの、鳥肌もんのドラマが入っております。その際にはぜひ「エニグマ」と「ボンブ」を再現して、スタジオで実際に動かしてもらいたい。

暗号の作られた歴史と関わった人のドラマを、そんときの世界背景も交えながら「見てたんかい」の目線で紹介してくれちゃってるのは、「フェルマーの最終定理」でおなじみのサイモン・シン。さっすがイギリスBBCドキュメンタリー番組プロデューサー(でもWiki見たら、素粒子物理学の博士らしいよ。「プー博士(by「できるかなリターンズ」)」と一緒なのねん)。

いやー、それにしても知らんことだらけでビックリビックリ。ほんまに暗号って使われてるんやねー。日本って「パープル暗号」ってのを大戦で使ってたらしいっすよ。アメリカにあっさり解読されちゃってたみたいですが。ちなみにアメリカの「ナヴァホ暗号」ってのが、もー。

ほんでまた、今ネットで使われてる「SSL」とかの暗号方式も、どんどん変わっていきそうな気配を漂わしてるし、暗号界ったら、もー。

・・・文庫2冊分喋りそうなので、止めときます。

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