Jun 05, 2006
「ダーツよ、鉄(くろがね)の城を見張れ」(野村潤一郎)
獣医・野村潤一郎といえば、「派手な獣医さん」って位置付けでテレビに出たりしてたよなー、ってな印象くらいっか持ってなかったワタクシ。文章を読んだのは初めてであります。「獣医さん」の本ちうとヘリオット先生シリーズ(これはこれで超お薦め)が好きで、のんびりした話が展開されてるのかと思ってたのでありますが、ま、タイトルからしてそんな訳はなかったのでありました。
タイトルにある「ダーツ」はギンガオサイチョーの名前です(表紙の上段真中に描かれてる鳥)。「鉄(くろがね)の城」ってのは「野村獣医科センター」のことっすね。ダーツはここの入院室の見張り担当であります。繋がれてなくって特注ステンレスの止まり木にいるそうな。
そんなダーツをはじめとして、野村潤一郎の飼ってる動物の話(100種類以上いるそうな)や、病院でおこったあんなことこんなこと、お休みの時にお友達とハイテンションに遊んでる話、昔の貧乏時代の思い出等々、いろーんな話で埋まってます。ま、いろんなとこに連載したやつをまとめてるっぽいんで、文章の雰囲気もそれぞれ違ってたりもします。が、全文章が「熱い」ってのは統一されてます。
「動物を飼うならあなたの命を削って与えるべき」と言い切ってるだけあって、休みなしで睡眠時間が3時間、1日1食(5分以内)、毎朝ユンケル一気、ってな生き急ぎぶりは、真似できないしする気もないのでありますが、飼い主が手術を見守れるように手術室をガラス張りにしたり、自分の飼ってる動物に最高の環境を提供するように、金と時間をかけてるところは、「動物を飼う」ってことの覚悟があっていいっすね。
いろんな話が詰まっておりますが、ワタクシ的には、貧乏時代から苦労を共にしてきた、ドーベルマンの「リーラ」が死んで、新しくドーベルマンの「ビオラちゃん」を迎える話(「リーラとビオラ」)と、「お前が見たんかい」と突っ込みたくなるような、ダーツ目線で(始まりは卵の中にいるとき)数奇な翻弄人生を綴った「サイチョウ・ダーツの人生」(ディズニーがアニメ化しそうな王道話)が好きかなー。ネオケラトドスのプン太郎がやってきた話や、犬友達と遊んでる話もほのぼのしていいっす。
動物飼ってないワタクシでありますが、「責任を持てないものは飼う資格がない」ってとこは同意見であります。文章の端々からにおってくる「俺ってすごいっしょ」光線は本来鼻につくとこでありますが、ワタクシ職人さんは好きなので「動物を治療する腕がある」ちうことでチャラにします。金があることでいろんな高価なグッズもチラチラ登場しますが、あまりに全部ベタ(ランボルギーニとか)なので、これはこれで面白いっす。
とにかく、読み出したら一気に最後まで読んじゃいまして。おまけに「読み終わった後、体温が上がってた」って本は久しぶりでありました。「野村潤一郎と飲みに行って、カウンターに座って2時間話を聞きつづけた」みたいな目にあってしまいますが、そんな体験をしてみたい方にはお薦めっすよ。ちなみにこれの前作「ソロモンと奇妙な患者(クランケ)たち」は、まだ読んでないけど読んでみようかと思いましたです。
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