Oct 13, 2005
「旅々オートバイ」(素樹文生)
昔、ワタクシのことを紹介してくれる人は大概、「やまわきさんってのはでかい人やで」と紹介してくれてたのでありますが、自分のHPを立ち上げてからは、「でかくてバイクに乗ってる人やで」と紹介してくれるようになりまして。ってなわけで、バイク本であります。
「旅々オートバイ」は「バイクで一人旅(日本一周)したよ」の記録であります。会社を辞めて借りてる部屋も解約して、夜明け前にバイクで旅立つとこの「すべてに別れを告げて出て行くぜ」的な細かい描写は、ちょっと恥ずかしいくらい男前な盛り上がりっぷりっす。何故恥ずかしいかっちうと、この気持ちはちょっとわかるからであります。
ワタクシはそんな大それた旅はやらかしてないけど、「バイクに乗って長距離」ってのは一人でもあり、バイクと二人でもあるのです。車がブンブン走るとこに剥き出しで出て行くわけなので、「自分がこけたらえらいこっちゃやから、頑張ってね」ちうヨワヨワな気持ちと、「まー、うちがちゃっちゃと運転すっから大丈夫よー」ちう強気なもんが、ごっちゃになりながらの旅立ちが味わえちゃうのです。
つまり怖がりな人の方が、より盛り上がるちうわけですね。「調子に乗りやすい」(何回通信簿に書かれたことか)ワタクシが盛り上がるのも当然なのであります。
運転しながら慣れない道をドキドキ走り、休憩する時にバイクを降りてすっごい安心してたり、また出発するときに「また車線に出て行くのねん」とちょっと気持ちを切り替えたりってのは、何回やっても「怖くて楽しい」のです。通勤で毎日乗ってるけど「長距離」ってのはまた違う気分なのでありますよ。
怖がりで盛り上がりやすいワタクシは、感動屋さんでもあります。免許取ってSRX400を購入し、店から家に帰る時に初めて公道を走ったときは、信号待ちの時に「こんなとこに突っ立ってるよー」と感動してました。片側2車線の道路のど真ん中で足を付いてるってのが、とっても不思議やったのであります。車幅分ある1車線のど真ん中を走りながら、「こんなに余裕があるよー、贅沢やなー」とも感動してました。我ながらとても簡単っす。
「本の内容と全然関係ないやんけ」とお思いでしょうが、この本には「バイク語り」と「一人旅語り」が上記のワタクシの語りレベルで細かーく詰まってます。「道ごとの匂いの違い」とか「結構雲をよく見てる」とか「お子ちゃまにずーっと見つめられるので、ついつい相手してしまう」とか。排気量とか車種とかに関係なく、「普通に走ってるときの気分」が書かれてるのがいいなー。
ワタクシとしては、共感するとこと「そこはちょっと違うな」ちうとことありますが、これを読むと「うちの場合はねー」と自分のことをどんどん思い出せちゃったのであります。
「バイク」だけじゃなくて「一人旅」の記録でもあるので、キャンプ話や旅先であった出来事とかもいっぱい書いてあって、それはそれで「ほー」と楽しく読めます。雨男らしく、雨対策も満載っす。描写が細かいので絵が浮かんできやすくて、一人旅気分も味わえます。
旅日記部分と、テーマを決めてのエッセイ部分が混ざった構成になってて、文体や目線に「何さとっとんねん」とか「どこの男前やねん」とかの青臭い部分も数多くありますが、それも生々しい記録って感じでいいっすね。ちうか、これ読んで「あー、どっか行きたいー」と「このままーっ、どこかとおーく♪」と「日曜日よりの使者」をグルグルループさせてるワタクシでありました。どこ行ったろかなー。へなちょこなんで絶対宿に泊まるけどね(キャンプは無理)。
それにしても。なぜバイク好きの人がバイクを語ると、なんちゅーか「こっぱずかしい」ちうか「何かを悟ったような」ちうか「自己陶酔」ちう感じになってしまうのでありましょー。不思議であります。片岡義男のせいかなー(ちなみに文庫の解説は片岡義男っすよ)。
※ 著者HPはこちら。ブログもあったんでトラバしようかと思ったんやけど、どの記事にトラバしていいのかわからんかったのでやめました。最近お子ちゃまが誕生したそうです。おめでとうございますー。
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