Aug 31, 2005

「リンゴォ・キッドの休日」(矢作俊彦)

← とりあえずカバーデザインがかっこいいっすね。タイトルもいいしね。

「ハードボイルド」は「できるだけクールなものが好み」のワタクシ、どっちかと言えば「ひねくれた会話の応酬」を重視するタイプであります。でも日本でハードボイルドもんってなると、暴力やら裏社会やら女やら義理やらに盛り上がってるぽくて、湿っぽいのねん。どうもワタクシ好みではないもんが人気を占めてるんで、遠ざかってたのであります。

で、そんなワタクシにも大丈夫なハードボイルドは矢作俊彦であります。去年の「このミス」で「THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイ」がチャートインしたっちゅーことで、二村シリーズが最初から文庫で復活しました。「リンゴォ・キッドの休日」は第1作であります。いやー、この文体がかっちょいいー。もう始めの2ページ分読んだだけで「あ、ハードボイルドやわ」ってのがわかります(ちうか「翻訳?」と思ったチャンドラー好きのワタクシ)。ぜひ立ち読みしてみましょう。

初版が1978年なんで服装がIVY(初期)なのさえ目をつぶっとけば、会話の端々にワタクシの好きな「余裕かました強気でおちょくった喋り」がチマチマ混ざってて、満足であります(相手が大物であるほど有効)。二村が巨人ファンなのは気に入らんけどね。フィリップ・マーロウほどロマンチストすぎないとこもいいな。

二村は刑事です。非番の日に事件が発生して上司に呼ばれてなんちゃらら、ってな話でありますが、ま、「事件の謎が気になるー」ってよりは、「二村がどー動くのか気になるー」って感じっすね。一人称が「ぼく」ってのも許そうかな。

相手が怒鳴ろうが脅そうが、二村の喋りが淡々としてるのがいいっすね。どなったりしないとこも男前やなー。相手が誰でも同じ態度やし、誰に気に入られようともしてないとこもいいし。他人の話をちゃんと聞くのもいいし。でも忠告は全くきかんけども(お約束)。ってなわけでさらに大人になってるであろう二村に会うために「真夜中へもう一歩」まで購入済みのワタクシでありました。

場所設定は横須賀であります。同じ繁華街でも北新地とかやったら、ただのVシネマみたいな話になっちゃうんやろなー。だって会話の中には「突っ込んであげろよ」なボケも混ざってるわけで。大阪やったら絶対もう一言突っ込んで「にゃっはっは」とぶち壊しになるところ、横須賀は抑えるのでありますよ。会話が「オサレ優先」でありますね。

なので、1回目は全編に漂うオサレ感に「おおー、かっちょえー」と酔いながら読んで、次に読むときにはオサレ会話に全突っ込みを入れながら、空気感をぶち壊して回ったりってな邪道な読み方をしてしまうワタクシでありました。二村の顔をボケの顔に割り当てると、結構突っ込みまくれるもんっすよ。ウッチャンとか(地味な顔がお勧め)。全編標準語なんで関西芸人を割り当ててしまうと、一言目から「誰やお前」ってなってしまうので注意が必要です。

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