Apr 10, 2005

「オトナ語の謎。」(ほぼ日刊イトイ新聞)

「ほぼ日刊イトイ新聞」での連載からの書籍化であります。なので、オトナ語の謎。(WEB連載版)を読むと、内容としてはわかりやすいかと思われますね。早い話が「学生の時には使わなかったけど、オトナになってから使うようになった言葉があるよねー」のまとめであります。

「業界用語」ってやつは、友達と喋ったりするときとかに「使わないよーにしよー」とか考えるんで、比較的意識してた部分もあるのでありますが(「デフォルト」とか「バグ」とか)、「オトナ語」ってやつは会社にいる時にしか使わないし、みんなも使うから結構見落としておりましたですね。確かに「スキル」とか「私物」とか学生の時には使わんかったわ。

その他にもいろんな言葉が羅列されてるのでありますが、こーやって一気に見ていくと結局のところ「どーやってあいまいにごまかすか」「どーやって角を立てずにのりきるか」がメインになってるもんなのですね。相手の案が気に入らないとか、文句の一つも言いたいとか、って時にずばっと言っちゃうのが大人気ない、ちうことで「ワタクシ的にはオッケーなのですが」とかって言っても、結局「それは却下です」の意味やしね。オトナっちうのは回りくどいもんなのでありますなー。

もう身につまされるオトナ語としては、仕事が火を噴いた時の一連のやつとかね。「例のヤツがやっぱし火噴いたから、○○を火消し部隊に投入してんけど地雷踏んだみたいで、泣きが入ってるんやけど、ほっとこか?」みたいな使い方はよくありましたなー(遠い目になっております)。ちなみにこーゆー時に投入される火消し部隊は、「その時手が空いてる」って理由だけで使い物にならんやつを投入される場合が大半なので、投入後すぐ現場から泣きが入るのがお約束であります。

この本には「基本用語編」(「お世話になっております」等)、「カタカナ編」(「プライオリティ」等)、「オフィス編」(「直行直帰」等)、「交渉編」(「お忙しいところ」等)、「シリーズ編」(「素材」を「料理」して「煮詰めた」ら「煮詰まる」「料理シリーズ」等)、「その他編」(「力仕事」等)と、各章に別れておりまして、それぞれの用語の解説や、使用方法や、間違った使用方法や、ちゃちゃいれが載っております。これがさすが永田ソフトくん。上手いっす。

どこが上手いかと言いますと、その用語の使われる背景や、どんな時に使われるかがぶっちゃけて書いてあるとこっすね。例えばみんなが黙りこくった会議で一気に会議を終結させるには「いずれにしましても」で切り出せ!とか(問題は解決しないけど)、部下に注文つけたいんやけどうまく伝えられなくて、でも上司っぽく言いたいしーって時は「ま、いい感じにしといて」で解決だー(根本的な解決にはならんけど)。とか、その辺が読んでて「あるあるあるあるー」ってペチペチヒザを叩きたくなるとこなのであります。

結局オトナ語って、京都弁の「ブブ漬けでもどーどす?(真意:もう帰って欲しいんやけど)」みたいなもんなんやろなー。だって会ったことない人にでも「お世話になっております」やし、相手がどんだけ暇そうでも「お忙しいところおそれいります」やしね。

こんだけ心のこもってない言葉を日々繰り広げてて、みんながその裏をわかっててまた心こもってない返事をして、ってのは考え様によったらすんごい気持ち悪いことなんやけど、これが相手のことを好きか嫌いかで差をつけることなく、交渉をスムーズにする知恵なのでありましょーなー。だって「基本のオトナ語」をさらに崩して「ちょっと親しみを持たせる」って技もあったりするもんね。ややこしいーなりー。

そんなこんなで、きっと今日もどこかで客先に「ほなこれを仮にフィックスとしといてー」とか言われて(仮フィックス宣言5回目と仮定)、「仮のどこがフィックスやねーん」と怒りに震えるオトナが、晩に後輩をのみに誘ってグチをいいまくり、逆に後輩から「○○さんがビシっと言わんと、いつまでたってもフィックスしませんよー」と叱られたり、ってなことが行われているわけで。全国の居酒屋さんは今日も満杯なのでありましょーなー。

WriteBacks

やまわきさんも「オトナ語の謎。」読んでたんですな。
その業界によって使う言葉は微妙に違うけど、
私も「あるあるある」って思いながら読んでましたわー。
最近、多いのが、電話を取り次ごうとしたら、「いまいない!」

Posted by ユカ at 2005/04/11 (Mon) 20:39:01

読んだよーん。WEB連載中も見てたから単行本で買おうとは
思わんかったけど、文庫になったから買ってみたのー。

うちは基本用語以外では、「何をおっしゃいますやら」が
かなり使用頻度高いかも。
営業でもないのにー(/_;)

Posted by やまわき at 2005/04/11 (Mon) 23:13:45

書評・加山リカ・「オトナ語の謎。 」 〜裏・オトナ副読本〜

身に覚えがあること、しきり。まずはいくつか引用してみる。
 
 
 どうやったらできるか考えてみてよ
 
 「う〜ん・・・・企画の意図が見えてこないな。部分的には、いいんだけどね。
 こう、遊びが足りないというか。ひとことで言うと、弱い。もっと、軸になる
 ものがないと」
 「そう思ってがんばってみたんですが・・・・」
 「がんばるだけじゃダメだろう!」
 「はあ・・・・」
 「もっと、こう、若い人の感覚で」
 「具体的に、どうすれば・・・・・?」
 「そのへん、どうやったらできるか考えてみてよ」
 「・・・・・・・・・・・」
 
 
〜預かり
 
 その件はどこが処理することになっているか、現在の責任は
 どこにあるのかを指す。あるいは作業がどこで止まっているのかを
 暗に揶揄する場合にも使われがち。
 「その件は先月から渡辺本部長預かりとなっておりまして」
 「それじゃ待つしかないですねえ」
 
 
持ち帰る
 
 学生諸君にとって宿題は「やる」ものだが、オトナにとっては
 「持ち帰る」ものなのである。
 「その件は、宿題として持ち帰らせていただきます」
 ちなみに、持ち帰った宿題は、そののち社内で振られて
 ほかの誰かの宿題となる。
 
 
へりくだりと自己保身の絶え間ない婉曲なせめぎあい。
それが「オトナ語」の醍醐味。
「宿題」の意味すら変えてしまう、会社でしか通用しない
摩訶不思議な日本語を集めてみるとこんなにもあるものか。
本書に挙げられている「オトナ語」は、かなり使用度が高いものが多い。
しきりに、読みながらうなずくこともあった。
なかなか実用的。
社会人版「悪魔の辞典」といった趣の本書、
本気で新入社員の教育マニュアルに
組み込んでみたら結構好評じゃないだろうか。


しかし、自然に使ってしまっているものもあるなあ。
「なるはや」とか「午後イチ」とか「手前ども」とか。
「近々(きんきん)に」とかは、もはや何の違和感もなく使っている。

これは便利。使いたいっというのもある。
 
 
 何時ごろまでまでいらしゃいますか?
 
 退社時間を訊くとみせかけて、じつは、
 「作業がずいぶん遅れています」の意味。
 (略)
 「その時間までにはなんとか仕上げたいと思います」という、
 苦肉のメッセージなのだが
 「じゃあ何時ごろにはできるんですか?」のひと言で
 あっさり切り返されてしまう性質を持つ。
 
 
 遅くなりまして
 
 先方が無理な注文を投げてきたのだ。断るわけにはいかなかったのだ。
 多少、要求された期日よりは遅れたのだ。
 けど、先方の注文がそもそも無理だったのだ。
 それで私はこのようにいうのだ。
 「遅くなりまして」
 ここで言葉を止めるのが、せめてものオトナの意地。
 同様に、本来、先方の領域であるところでミスを指摘された
 場合はこのように言う。
 「気がつきませんで。」
 このあたり、かなり上級なオトナ語といえよう。
 

 と、おっしゃいますと 

 これはぜひ、覚えて帰ってください。たとえば相手の言葉が
 専門的で理解できなかったとき。
 「と、おっしゃいますと」
 かなりの無理難題を出されて、マジかよと思ったとき。
 「と、おっしゃいますと」
 ズバリと問題点を突かれて、考える時間が欲しいとき。
 「と、おっしゃいますと」
 あなたを窮地から救う魔法の言葉。例によって例のごとく、
 根本的な解決には至らないので注意。
 
 
 すでにご存じでしょうけど
 
 こう前置すると、相手は「みんな知ってることなら知らなきゃ」と
 感じるため、話をおとなしく聞いてもらえるという。
 オトナ語とは、まさに先人の叡智である。
 
 
 
以下、過去に僕が遭遇して、曖昧な春先の笑顔で誤魔化した「オトナ語」をいくつか。


 えいやっ
 
 この、わけのわからんかけ声のようなものがほんとうに全国のオフィスで
 使われていることを学生諸君は信じてくれるだろうか?
 それは決断する説きの勢いを表し、
 「じゃあもう、えいやっ、でやってしまいましょう」
 というふうに使う。ほんとうの話である。(略)
 
 
→長期プロジェクトも大詰めを迎え、煩雑なドキュメントを
 いかにタイトなスケジュールの中で作成するか、チームミーティングで
 もめていた時に、同僚が発言。
 「えいやっ、」でやっただけに、後日、手直し、リスケのコンボとなり
 同じかけ声で、オフィスから逃亡したくなった。
 
 
 アテンド
 
 同行すること。立ち会うこと。(略)
 
→上司に、「まあ、当日は僕もアテンドするしね。」
 と言われて、なぜか空港の案内員を想像し、混乱する。
 
 
 基本オーケー
 
 そういうふうに言われた場合、オーケーではないということである。
 
→「基本オーケーだよ、んで追加で何箇所か手直しをry」
 提案書の作成時に。手直しというより、大幅増量&残業となった。
 
 
 ぽんち絵
 
 上司から「おい、ここに、ぽんち絵入れといて」と言われて
 戸惑う若者続出。
 書類などに添える簡単な絵を指す。(略)
 
→客先での偉いおじさんとのミーティング。
 「ここさ〜。分かりにくいから、ぽんち絵で解説した方が親切じゃない?」
 ????しばらく、何の事だか分らなかったが文脈と、
 漫画絵のことを『ポンチ絵』と言う事を思い出し、冷や汗をかく。
 ちなみに帰りのエレベータ内で、
「・・・お前、ぽんち絵ってなんのことか分かった?」
と、同僚に深刻な顔で聞かれる。


そして、カタカナ語の社内での猛威。
数年前に「アジェンダ」なんて言ってたか?
「それは●●さんマターです。」?
普通に、「●●さん預かり」とか「●●さんの担当」じゃ駄目なのか。
いまや「ペンディング」も普通に使われている感もある。
ちょっと、本書の「カタカナ編」をもとに
「ルー語変換」(http://lou5.jp/)で遊んでみた。


「今までの流れで行くと、この件は山口さんの仕切りで、顧客に折衝役をお願いします。
 この案件では、潜在的な市場において、顧客との相乗効果をいかに高めるかが重要です。
 臨機応変な対応が求められる上に、顧客の各部署、上層部との同意も得ることも同時に課題となります。
 案件に参加するメンバーは常に情報の共有を心がけて、作業の優先順位を付けた上で、
 問題解決に意欲を持って取り組んでください。」


「プレゼントタイムまでのストリームでゴーすると、この件は山口さんの仕切りで、カスタマーにネゴシエーションウォーをプリーズします。
 この案件では、潜在マークなマーケットにおいて、顧客との相乗エフェクトをいかにレイズするかが重要です。
 臨機応変な対応が求められるオーバーに、カスタマーの各部署、上層部とのセイムミーニングもポッシブルすることも同時にサブジェクトとなります。
 マターインクェスチョンに参加するメンバーは常にインフォメーションのシェアを心がけて、ワークの優先オーダーを付けたオーバーで、
 プロブレム解決にウィルを持って取り組んでください。」




・・・・・・・・・・。しかし業種によってはこのレベルに近い奴もいるしなあ・・・・。



  



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Posted by 「3A.M.O.P-午前三時のオプ-」2004-2009 at 2009/11/20 (Fri) 00:11:30
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